【目次】
■梱包とは?

梱包の「梱(こり)」という字は、「しばる」や「たばねる」という意味を持つ言葉です。梱包とは、ダンボールや発泡スチロール、クッション材などを使い、荷物が傷つかないようにまとめる作業のことを指します。輸送や保管を目的に品物を詰めるもので、荷造りと呼ぶ場合もあります。
梱包に似た意味を持つのが「包装」です。包装の「包」は、「つつむ」や「くるむ」という意味を持ちます。包装も品物を包むという点では梱包と同じですが、商品の見栄えを良くする装飾的な意味合いで使われるのが一般的です。
例えば、デパートなどで購入したアイテムを包装紙に包んだり、贈り物をラッピングしたり、本にブックカバーをかけたりするのは包装に当たります。
■梱包の重要性

品物をただダンボールなどの梱包資材に入れたり包んだりするだけでは、輸送中の揺れなどが原因で、傷がついたり破損したりする恐れがあります。商品が壊れてしまった場合、顧客からのクレームや、店舗の信頼を損なう事態につながることもあるでしょう。
梱包をしっかりと行い、輸送中の衝撃などによる商品の破損・変形を防ぐことが大切です。
外部からの衝撃を和らげ、品物をきれいな状態でお客様の手元に送り届けるためにも、梱包は欠かせない作業のひとつといえます。
■梱包に必要な資材

梱包を行う際は、事前に必要な資材を用意しなければいけません。具体的に、どのようなアイテムを用意すれば良いのでしょうか。梱包に必要な資材と、それぞれの選び方をご紹介します。
・外装
ものを梱包する際に使う、一番外側の包みが「外装」です。ダンボールや発泡スチロール、メール便用の薄型ケース、木箱、スチールなどが外装の一例に挙げられます。
一般的な宅配の際は、軽く丈夫で加工も容易な、ダンボールが使われることが多いです。空港便や船便で荷物を輸送する際は、さらに強度が優れる木箱やスチールの外装を使用することもあります。
特に、重量のある商品を梱包する際は、ダンボールが輸送中に壊れてしまうのを避けるために、適度に強度があるものを選ぶ必要があります。ダンボールの強度は厚みではなく、「フルート」と呼ばれる波型の芯材の数によって異なり、波の数が増えるほど強度も増します。
梱包材のサイズに関しては、ものが十分に入る高さを備えていることを前提に、大きすぎないものを選ぶと良いでしょう。品物に対して箱のサイズが大きすぎると、余計な配送料がかかったり輸送の手間が増したりします。
・緩衝材
緩衝材とは、ダンボールなどの外装と荷物の隙間を埋めて、傷つきや破損を防ぐためのものです。ビニールに空気の入った「気泡緩衝材」や、ポリスチレンなどの合成樹脂が主に使用されます。
ただし、緩衝材は品物への衝撃を吸収できるものなら、何を使っても問題ありません。そのため、丸めた紙や新聞紙などが使われることもあります。
また、内容物が中でぶつかって破損するのを防ぐラップなども、緩衝材といえます。
・粘着テープ
粘着テープは、ダンボールを組み立てたり商品を詰めた後に閉じたりする際に使用します。ダンボールで梱包を行う際は、クラフトテープやビニールテープ、布テープといったガムテープを使用するのが一般的です。粘着テープの貼り方を工夫すれば、ダンボールの強度を高める効果も期待できます。
テープごとに特徴が異なるので、簡単な違いを知っておきましょう。
【クラフトテープ(紙テープ)】
紙を素材に作られたテープです。手で簡単に切れてコストが低いなど、使い勝手に優れています。一方で、強度が弱く重ね貼りも難しいので、重たい荷物の梱包には適していません。
【ビニールテープ】
ビニールから作られたテープで、伸縮性や耐久性に優れています。重ね貼りも可能ですが、切るにはカッターなどが必要です。
【布テープ】
コストは少し高めですが、重ね貼りできて強度にも優れるといった特徴を備えています。
■梱包の方法や手順

外装の中に入れた品物を宅配時の衝撃から守るためには、正しい方法で梱包することが大切です。梱包を行う際は、コツを知っておきましょう。ここでは、梱包の方法やコツを、手順ごとにご紹介します。
・商品を詰め込む
最初にダンボールなどの梱包資材を用意して、中に品物を詰めていきます。梱包用の箱は、品物の大きさに応じて用意するのが基本です。品物が小さく中に隙間ができてしまう場合は、できるだけ箱の中央部分に品物が来るように置きましょう。
また、ひとつの箱の中に複数の品物を詰める場合は、重いものが下、軽いものが上になるように詰め込んでいくと、中身の破損を防ぐことができます。
・緩衝材を詰める
品物を梱包資材の中に入れた時に、ダンボールと品物の間に隙間が大きくできている場合は、緩衝材を詰めて隙間を埋めていきます。隙間をなくすことで、緩衝材がクッションになり、運送中に荷物が大きく動いたり中身が揺れたりした際の破損を防ぐことが可能です。
ただし、中身が陶器やガラスといった割れ物の場合は、緩衝材を詰め込みすぎるのは避けるのがポイントです。緩衝材を詰めすぎて中の隙間がなくなると、品物が圧力で破損する恐れがあります。
衝撃が大きくなりやすい四隅や、底部などを中心に緩衝材を詰めると良いでしょう。
また、アイテムは一つひとつ個別に緩衝材で包み、荷物同士がぶつかって破損する事態を防ぐのも梱包時のポイントです。
・テープで補強する
品物を詰めるダンボールの底と開閉部は、ガムテープなどを貼って補強し、中身が飛び出さないようにする必要があります。テープの貼り方は、十字張りやH貼り、I字貼りと呼ばれる方法が一般的です。それぞれの簡単な特徴は、以下の通りです。
【十字貼り】
名前の通り、箱の縦と横方向に、テープが十字になるように貼る方法です。圧力がかかりやすい中心部分を効果的に補強することができます。
【H貼り】
箱の開閉部を、H字で囲むように貼る方法です。箱の強度が増し、破損を防ぐことができます。
【I字貼り】
箱の開閉部の中心を、1本のテープで止める方法です。縦貼りとも呼ばれます。手軽な方法ですが強度では他の方法に劣り、重量のある中身だと底抜けの恐れがあります。基本的には、軽いものを梱包する際に使用する方法です。