VMDとは? 店舗設計の基本を知って売上アップを目指そう

店舗経営に携わっている方は、「VMD」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。 特にファッションやアパレル業界を中心によく聞かれる言葉ですが、具体的にどのような意味なのかわからないという方も多いかもしれません。

ここでは、店舗のレイアウト設計を行う際に役立つVMDについての概要と、 効果的なVMDの方法についてご紹介します。

【目次】

■VMDとは?

VMDは「Visual Merchandising」(ビジュアルマーチャンダイジング)を略したものです。 マーチャンダイジング(MD)とは、商品の販売方法や価格設定などを戦略的に設定する活動を指し、 「商品計画」や「商品化計画」と訳されることがあります。

つまり、VMDとは「視覚的な(Visual)販売戦略(Merchandising)」という意味です。 より簡単に表すと「顧客が商品を探しやすく、購入しやすい売り場を作る」マーケティング手法といえます。

例えばファッション・アパレル業界では、「マネキン」に衣服を着せて陳列したり、 ショーウィンドウに人気商品を配置して通りがかった人の興味を引いたりするのが、VMDの一例です。

他にも、店舗の内装イメージを考えたり、イメージに合う什器を用意したり、 販売スタッフをトレーニングしたりするのもVMDに含まれます。

ビジュアルマーチャンダイジング業務を担う「ビジュアルマーチャンダイザー」を指して、VMDと略すこともあります。

■VMDとディスプレイ(展示)の違い

売り場をつくるVMDと商品を展示する「ディスプレイ」は似た言葉のように思えますが、2つには明確な違いがあります。 ディスプレイというと、商品の陳列や装飾そのものを指します。一方でVMDは、 店舗全体における商品の配置や装飾を工夫して、顧客が商品を見やすく探しやすい店舗づくりを行うことです。

大きな視点で店舗について考え、どのように商品を見せて顧客を店舗に呼び込むのか、 行動してもらうのかを考えるのがVMDで、VMDの考え方を基にして売り場に商品を並べるのがディスプレイと言い換えることもできます。

■VMDで重要な3つの要素

VMDは、大きくVP・PP・IPの3つの要素から構成されています。 3つを適切に行うことで、顧客にとって商品が見やすく、買いやすい空間づくりにつなげています。 それぞれどのような業務なのか、概要を確認しておきましょう。

・VP

VPは「ビジュアルプレゼンテーション」の略で、ブランドの持つコンセプトやイメージを表現すること、 もしくはブランドのイメージを表現した売り場そのものを指します。 顧客に興味を持ってもらい、店舗に来店してもらうきっかけを作るのがVPの目的です。

ショーウィンドウや店舗の入り口周り、ファサードと呼ばれる店舗の通路に面した部分など、 視覚的に注目されやすい場所で展開されます。

VPは店舗の第一印象を決め、入店率を左右する部分です。 店舗やブランドの持つイメージを壊さないように心がける必要があります。 また、季節のおすすめ商品やイベントごとのテーマなどをディスプレイに反映していくことも、VPの一環です。

・PP

PPは「ポイントプレゼンテーション」という意味の言葉です。顧客の店舗内の回遊性を高めて、店内に滞在する時間を延ばすための動線づくりを行います。 PPの一例としては、マネキンや大型の什器などを活用して、おすすめ商品や人気商品をアピールすることが挙げられます。

入口付近やレジ周り、店舗の中央、壁面、目線の高さにある棚など、顧客の目に入りやすい場所で実施するのが適しています。 顧客が自然と店舗内を動きたくなるように意識して、レイアウトを考えることが大切です。

また、従業員の視点から見た際に、使いやすい什器かどうかも選ぶ際のポイントです。 店舗によっては季節やセールによって販売する商品が変わる度に、店舗内のレイアウトを変更することも考えられます。

そのような際に、キャスターが付いていて簡単に動かせるタイプの什器なら、 レイアウトを変更しやすくなり便利です。レイアウト変更にかかる時間を短縮できるだけでなく、 作業中の事故の危険性も減らせます。

ブランドものや宝石などの高級な商品を取り扱う場合は鍵を取り付けることができるなど、 防犯対策も必要です。使用するシーンで必要な機能が備わっていて、 安全に使用できるかどうかも確認して什器を選ぶようにしましょう。

・IP

IPは「アイテムプレゼンテーション」のことで、アイテムやデザイン、サイズなどによって商品を分類・陳列して、顧客が直感的に商品を見つけやすくする手法です。 種類ごとに商品を陳列するだけでなく、シーズンごとに分ける、カラーや価格ごとに分けるなど、分類の仕方はさまざまな方法が考えられます。

また、顧客が比較検討を行いやすいように、類似商品を近くに陳列することも重要です。

VPで入店率を高め、PPで滞在時間を延ばし、IPで購買行動につなげる、と考えると、3つの要素の重要性がわかりやすいでしょう。

■効果的なVMDを行う方法

3つの要素を踏まえたうえで効果的なVMDを売り場で行うためには、具体的にどのようにすれば良いのでしょうか。
VMDを意識した売り場づくりを行ううえで、覚えておきたいポイントをいくつかご紹介します。

・ディスプレイの基本構成を考える

VMDには、顧客にとって商品が美しく見えるディスプレイの基本構成が存在します。 最初に基本構成を考えたうえで、売り場を決めて行くと良いでしょう。ディスプレイの基本構成は、以下の4つです。

  • ・高さの異なる商品を並べる際は、正面から見て三角形になるように配置する
  • ・左右対称(シンメトリー)に商品を並べる
  • ・左右非対称(アシンメトリー)に商品を並べる
  • ・商品に規則性を持たせて並べる

アパレルの店舗などでマネキンを活用する場合は、マネキンの配置場所に加えて、顔の向きも考える必要もあります。 複数体のマネキンの目線を揃えれば、顧客を視線の方向に誘導できます。一方で、目線を左右にずらして、どの方向から顧客が来ても目線が合うように調整することも可能です。 マネキンを使って店舗にどのような印象を持たせたいかを考えながら、配置を決めていきましょう。

・消費者目線でレイアウトを作る

一般的に、顧客は店内を回遊していろいろな商品を目にしたり手に取ったりしながら、目当てのものを探すことが多いです。

消費者側の視点から見て、動きやすい動線が確保されているかどうか、商品が目につきやすい位置に配置されているか、 手の届く範囲に置かれているかなどを考えながら、店舗内のレイアウトづくりを行うことも重要です。

・3密回避に向けた動線づくりも重要

2020年初頭の新型コロナウイルス感染症の世界的流行から、人の暮らし方の意識は大きく変化しました。 他人との接触を避けて感染のリスクを減らすために、ECサイト(ネットショップ)でものを購入する傾向が高まっています。

しかし、実際に商品を手に取って間近で確認できるという強みを持つ「リアル店舗」が、完全に淘汰されることはないでしょう。

これからリアル店舗の売り場づくりを行う際は、マネキンや陳列棚、各種什器の配置を綿密に考えることが大切です。 動線を広くして顧客同士の間隔が取りやすいようにする、レジ前にレジ待ち時の待機場所を示すシールを貼るなど、3密(密集・密接・密閉)の回避を意識して売り場づくりを行いましょう。

来店者同士の距離が空くことで、顧客は安心して使用できる店舗だと感じやすくなります。

■VMDで売り場の売上アップにつなげよう

VMDは、顧客が店舗に興味を持ち、商品を実際に購入するまでの動きを左右する要素です。 顧客が商品を確認しやすく手に取りやすい売り場づくりを心がければ、顧客の購入率が変わります。 一方で、何も考えずに適当に店舗内のレイアウトを仕上げると、 商品が探しづらい、店舗内を動きづらいなど、使いづらさを感じる売り場になってしまうでしょう。

VMDについて興味があるという方は、「商品装飾展示技能検定」という資格の取得を目指すのも良いかもしれません。

商品陳列など、店舗の視覚的な面を改善して売り上げアップにつなげるために、売り場づくりの際はVMDを意識する必要があります。
また、VMDは一度売り場を作ったら終わりではありません。季節やおすすめ商品の移り変わりに合わせながら、什器を入れ替えたりレイアウトを変更したりしていくことが大切です。