脱プラスチックが必要な理由は? 日本の現状と取り組みの一例

2020年7月1日より、レジ袋の有料化が開始されました。買い物の際はエコバッグを持ち歩くなど生活が大きく変化し、プラスチックごみや環境破壊に対する問題意識を身近に感じることが増えた方も多いと思われます。

さらに、2021年3月には「プラスチック資源循環促進法案」が閣議決定されるなど、日本でも「脱プラスチック」に向けた動きが加速しています。脱プラスチックとは、言葉通りプラスチックの使用をやめることを指しますが、近年各所で叫ばれているのはなぜでしょうか。

ここでは、世界的に叫ばれている脱プラスチックが必要な理由や、それに向けた取り組みの一例などをご紹介します。

【目次】

■脱プラスチックが必要な背景

国連サミットで採択された「SDGs(エスディージーズ・持続可能な開発目標)」をはじめ、脱プラスチックに向けた動きが世界的に加速しつつあります。

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、経済・社会・環境のバランスが取れた世界を目指すための17個のゴールのことです。国連に加盟する193の国において、2030年までに達成すべきとしています。

しかし、なぜこうも脱プラスチックの話題が盛んに行われているのでしょうか。まずは、脱プラスチックが必要な理由をご紹介します。

・海洋プラスチックごみ問題への対処

世界中で捨てられたプラスチックごみは、最終的に海に流れ着きます。ビニール袋やストロー、ペットボトルなど、プラスチックは生活のさまざまな場面で使われているため、廃棄される量も多いです。

世界各地から海に流れていくプラスチックごみの量は、年間800万トンともいわれます。このままのペースだと、2050年までに世界中の魚の総量よりも、海中プラスチックごみの総量が多くなると警告されていることからも、その量の多さをうかがえます。 Hallows' Day)の前夜(All Hallows' Evening)が短縮されたものです。

また、海に捨てられたプラスチック製品が原因で、海に住む生物が傷ついたり死んだりする事例も見られます。

プラスチックが紫外線や波の力で細分化され、5mm以下の大きさになった「マイクロプラスチック」の問題も深刻です。プラスチックは海中の有害な化学物質をくっつける力が強いため、化学物質の付着したマイクロプラスチックを魚が食べてしまう、その魚を食べたことによる人体への悪影響も懸念されています。

このような海洋プラスチックごみ問題への対処法の一環として、プラスチックの使用量を減らす脱プラスチックが求められています。

・気候変動の影響を緩和

プラスチックごみによる問題は、海洋汚染だけではありません。

プラスチックの原材料は石油です。石油からできているプラスチックを廃棄する際に燃やすと、CO2(二酸化炭素)が発生します。二酸化炭素は、地球温暖化の原因となっている「温室効果ガス」に分類されます。温室効果ガスとしては、他にもメタンや一酸化二窒素、フロン類などが挙げられますが、二酸化炭素はその中でも特に地球温暖化への影響度が大きいガスです。

プラスチックごみを減らすことは、温室効果ガスによる気候変動の影響緩和にもつながるのです。

■脱プラスチックに欠かせない循環型社会

脱プラスチックに向けては、循環型社会という考え方が欠かせません。循環型社会とは、ごみを再利用して新たな資源とするなど、天然資源の使用を控えて資源を循環させていく社会のことです。

リデュース(Reduce・量を減らす)、リユース(Reuse・再使用)、リサイクル(Recycle・再生利用)の「3R」が、プラスチックごみを減らすための原則とされています。

ただし、循環型社会では決してリサイクルを推奨しているわけではありません。リサイクルそのものは大切な取り組みですが、プラスチックのリサイクルには大きなコストが発生します。リサイクルを行うよりも、適切に処理を行った方がコストや環境負荷も抑えられるのです。

そのため、そもそもごみの量そのものを減らす「リデュース」が特に重要視されています。

■日本の脱プラスチックの現状

ビニール袋の有料化など、日本でも脱プラスチックに向けて動き出していますが、世界的に見ると取り組みは遅れているといわざるを得ません。ここでは、日本の脱プラスチックの現状と課題をご紹介します。

・リサイクル率が低い

日本国内で排出されるプラスチックごみの量は、年間約900万トンです。そのうち、86%が有効利用(リサイクル)、残りの14%は焼却や埋め立てといった方法で処理されています。※1

数字だけ見るとリサイクル率が高く思えますが、有効利用の多くを占めている「エネルギー回収(サーマルリサイクル)」とは、プラスチックごみを燃やす際に出る熱エネルギーを回収することです。

プラスチックを焼却する課程で二酸化炭素が排出されるため、環境に配慮された方法と言い切ることはできません。

実際に、国際的にはサーマルリサイクルと純粋なリサイクル(再利用)は明確に区別されています。国際基準に合わせた場合、日本のプラスチックごみの純粋なリサイクル率は27%ほどで、諸外国に比べるとあまり高くない数字となります。

※1出典:農林水産省「食品産業におけるプラスチック資源循環について」
https://www.maff.go.jp/j/plastic/attach/pdf/index-3.pdf

・プラスチックごみの処理を他国に頼っている

日本は人件費の抑制などを理由に、プラスチックごみを海外へ輸出し、海外企業が処理を行ってきました。

2018年には、日本のプラスチックごみを多く輸入していた中国がプラスチックごみの輸入を停止。それ以降も東南アジア諸国へ輸出を続けていますが、輸出総量自体は減っていて、日本国内で処理を行わなければいけない状況です。

また、海外へ運ばれたプラスチックごみは、結局捨てられてしまったり、海に不法投棄されたりして、環境負荷がかかっているとも指摘されています。

これらの問題を防ぐために、廃棄物の国境を超える移動や処分は、「バーゼル条約」と呼ばれる国際条約で規制されていて、日本国内にもバーゼル条約に基づいた「バーゼル法」という法律が存在します。

このバーゼル法は2021年に改正され、プラスチックごみも輸出規制の対象となりました。

輸出が完全に禁じられたわけではないものの、以前のように簡単にプラスチックごみを国外へ輸出することはできません。

プラスチックごみを処理する方法を模索するのではなく、前提としてプラスチックごみの排出量を削減することが、日本全体で求められているのです。

■脱プラスチックに向けた取り組みの一例

小売店をはじめとした企業において、脱プラスチックを推進し、プラスチックごみの排出量を減らすためには、どのような取り組みを行えば良いのでしょうか。

すぐに取り組めるものとしては、プラスチックではなく代替物を使用することです。例えば、商品の包装や容器、商品そのものをプラスチックから紙製のものに変更する取り組みが一例です。

プラスチックを使わざるを得ない場合でも、厚みを薄くするなどしてプラスチックの使用量は減らすことができます。

個人単位では、マイボトルを用意してペットボトルの購入量を減らす、プラスチック製の商品は避けて代替素材で作られた商品を使うといった取り組みがあげられます。

ただし、プラスチック以外にも環境負荷が高い素材はあります。代替素材を使用する場合は、環境負荷が高くないかを確認することが重要です。

■脱プラスチックに向けた一歩を踏み出そう

プラスチックごみを減らし、脱プラスチックを実現するためには、リサイクルやリユースといった再生利用、再使用の考え方ではなく、そもそもプラスチックの使用量を減らして行くリデュースの考え方が重要です。

容器やストローなど、現在使用しているプラスチック製品を環境負荷の少ない代替素材のものに変えていくなど、個人や企業ができることから始めていく必要があるでしょう。

しかし、プラスチックは生活のさまざまな場所で使われているため、完全な脱プラスチックは難しいかもしれません。少しずつ、着実にプラスチックの使用量を減らして行くことが大切です。