【目次】
■カフェは未経験でも開業できる?
飲食業未経験の方でも、カフェを開業することは可能です。開業に必須の免許や資格はあまり多くなく、設備を準備して必要な手続きを済ませれば、誰でも開業できます。
おいしい料理をメインに掲げたり、他業種と組み合わせたコンセプトカフェにしたり、店内の雰囲気に力を入れたりと、自分のこだわりが詰まった店舗を経営できるのは、カフェ開業の大きなメリットといえるでしょう。
一方で、経営したい店舗のスタイルに左右されますが、コーヒーの入れ方や料理作りの技術、接客方法など、学んでおくと役立つスキルが多いのも事実です。
スクールやセミナーで勉強したり、アルバイトで経験を積んだり、カフェ勤務経験があるスタッフを雇ったりして、必要な知識を習得する必要はあります。
■カフェ開業にかかる資金はどれくらい?
必要な資格が少なくハードルが低い一方で、カフェの開業にはまとまった資金が欠かせません。立地条件や規模などに左右されますが、物件取得費や内装工事費、備品購入費、広告費、仕入れ費用など、小規模なカフェでも500~1,000万円ほどの開業資金が必要になるといわれています。
ただし、すでに内装や設備が整っている「居抜き物件」を活用したり、国や自治体による補助金制度を活用したりして、費用を抑えることは可能です。
また、お店のこだわりを明確にしておくのも良いでしょう。お店のコンセプトが定まっていれば、どこに力をかけるのか、どこの資金を削れるのかを判断して、費用を抑えやすくなります。
■カフェ開業に必要な免許や資格
必要な免許や資格が少ないとはいえ、完全に無免許でカフェを開業できるわけではありません。飲食店を経営するには、「食品衛生責任者」や「飲食店営業許可証」の取得、「開業届」の届け出が必要です。
また、勘違いされがちですが、「調理師免許」はあればプラスに働くものの、持っていなくてもカフェを開業できます。
【食品衛生責任者】
カフェや喫茶店など、飲食店を開業するために必須の資格です。各都道府県の食品衛生協会が行う講習を受講すると取得できます。複数店舗を経営する場合は、各店舗に1人は必ず食品衛生責任者を配置しなければいけません。
栄養士や調理師免許などの資格を有している場合は講習が免除されます。
【飲食店営業許可証】
ジャンルを問わず、飲食店を経営する際は飲食店営業許可証の取得も欠かせません。保健所に申請書を提出し、審査をクリアする必要があります。
店舗設備などの細かな規定があるため、計画書を持って事前に保健所に相談しておきましょう。
【開業届】
個人事業主としてカフェを開業する場合は、税務署に開業届を提出する必要があります。開業から1ヶ月以内に、管轄の税務署に必要書類を提出してください。
場合によっては「菓子製造業許可申請」や「防火管理者」、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」、「コーヒー豆の製造・加工業の届出」が必要になる場合もあります。
必要な免許や資格、届出は、店舗の規模や業務形態によって異なるため、管轄の保健所で事前に確認や相談をしておきましょう。
各地域を管轄する保健所は、以下の厚生労働省のページから確認可能です。
⇒厚生労働省ホームページ「保健所管轄区域案内」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/hokenjo/
■カフェを開業する方法
個人がカフェを開業する方法は、大きく3つ考えられます。それぞれメリット・デメリットがあるので、違いを踏まえて開業方法を検討することが重要です。
・フランチャイズに加盟する
お店をチェーン展開している企業と契約し、店舗名やブランド名を使用して経営を行う方法です。企業からのサポートを受けられ、ブランドの知名度が高い場合は集客効果も期待できます。
ただし、本部にロイヤリティを支払わなければいけない点や、店舗経営の自由度が低い点はデメリットです。
できるだけリスクを抑えてカフェ経営をはじめたい方に適しています。
・社員として開業の準備をする
雇われ店長としてカフェで働きながら、開業の準備を進める方法です。実際にカフェを経営するノウハウを学びながら、開店準備を進められます。
収入を確保しながらノウハウを学びたい方や、開業資金を貯めたい方に適していますが、フランチャイズと同様に、自由度は低くなりがちです。
・自分の力で開業する
0の状態から、自力でカフェを開業する方法です。自由度は高く、こだわりの詰まったカフェを開業できる一方で、立地の検討やコンセプト、価格、使用する設備など、店舗に関わるすべてを自分で決めなければいけないため、難易度も高くなります。
こだわりのあるカフェ経営を行いたいという方におすすめの方法です。
■カフェ開業までに必要な準備
カフェを開業するまでには、具体的にどのような準備を行えば良いのでしょうか。必要な準備の例を、流れに沿ってご紹介します。
・カフェと喫茶店のどちらにするか決める
最初に、カフェと喫茶店のどちらの形態で開業するかを決めましょう。似たような意味合いで使われることが多いカフェと喫茶店ですが、営業上は明確に区別されています。
カフェは「飲食店営業」に分類され、店内で調理した食品やアルコール飲料なども提供可能な店舗です。ただし、冷蔵や洗浄設備など、各種設備には要件が定められています。
一方で、喫茶店は「喫茶店営業」に分類され、飲み物や調理済みの茶菓子などの提供はできるものの、店内で調理した食べ物やアルコールの提供は基本的にできません。
どちらもコーヒーや紅茶などをメインにした店舗という意味では似ていますが、フードメニューやアルコール類も充実させたい場合はカフェ営業を、ドリンクメニューをメインに据えたい場合は喫茶店を選ぶのがおすすめです。
・お店のコンセプトを定める
個人経営のカフェや喫茶店を開業したい場合は、コンセプト作りがもっとも重要です。カフェは店舗数が多いうえに、ちょっとした空き時間を潰したい場合などは好立地にあるチェーン店の方が利便性に優れています。
独自性がない個人店の場合、顧客が入店してくれる可能性は減ってしまうでしょう。
一方で、自家製焙煎のコーヒーやおいしい料理が楽しめる、静かな雰囲気でゆっくり過ごせるなど、明確なコンセプトを定めておけば、特定のニーズを持った顧客を呼び込むことが可能です。
ターゲットにしたい客層や開業場所の選定、店舗の内装などにも大きく関わるため、事前に店舗のコンセプトを決めておくことをおすすめします。
・運転資金を準備する
コンセプト決めと平行して、資金の準備も欠かせません。このとき、開業資金だけでなく、数年先の運転資金も用意しておくと安心です。カフェは客単価や顧客の回転率が低いため、開業直後からすぐに経営が軌道に乗るのは難しいです。
しばらくは赤字経営が続くことも見越したうえで、運転資金は多めに準備してきましょう。
・お店を開く場所を決める
大きく自宅の一部を改装してカフェにする、テナントを借りるなど、カフェを開く方法はいくつか考えられます。テナントを借りる場合は、お店を開く土地や物件探しも重要です。
お店の立地は、集客に大きく関わります。決定したコンセプトやターゲットとしている客層に適した場所を探しましょう。
・提供するメニューを考える
お店で提供するメニューと価格の検討も重要です。場所と同じくコンセプトに適したメニューを開発しましょう。
ただし、開業直後はメニューを必要最低限に絞ることをおすすめします。最初からメニューを増やし過ぎると、その分仕入れのコストや調理の手間がかかったり、廃棄などのロスが大きくなったりする恐れがあります。経営が軌道に乗ってから、徐々にメニューを増やしていく方が確実です。
メニューの豊富さを売りにしたい場合は、「本日のおすすめ」で日替わりメニューを取り入れる、「季節限定メニュー」を打ち出すといった施策を行うと良いでしょう。
・必要な備品を用意する
店舗の改装や経営に必要な備品の準備も行う必要があります。考えたコンセプトを基に、冷蔵庫や照明、収納棚などをはじめ、顧客用のテーブルや椅子、食器、店内装飾用のインテリアなどを準備しておきましょう。
また、Wi-Fiや電源タップなどを用意しておき、スマートフォンを充電したりノートパソコンを使って作業したりできる環境を作るのもおすすめです。設備が充実していれば、顧客がリピーターになる可能性も高くなるはずです。