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「メッキ」とはどんな処理のこと? わかりにくい塗装との違いも解説

メッキ

日常的に販売されている商品の多くは、美観や機能性を高めるために表面処理が行われています。表面処理にはさまざまな方法がありますが、特に有名なのが「メッキ」と「塗装」ではないでしょうか。しかし、それらの違いがよくわからないという方も多いかもしれません。
ここでは、表面処理におけるメッキの概要や種類、塗装との違いなどをご紹介します。

【目次】

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■メッキとは

メッキ

メッキは、製品の表面に薄い金属の膜を作る表面処理の一種です。ニッケルやクロム、銅、銀、金といった金属を用いて、金属の膜を作ります。金属素材の表面処理として行うのが一般的ですが、樹脂素材をはじめとした非金属に対して行うこともあります。
ストエキオリジナル什器は、スチール素材にクロムや、アンティークゴールド色のメッキ加工を施したものが多いです。

また、片仮名で表記されることも多いメッキですが、厳密には外来語ではなく、日本語由来の言葉です。JISなどでは「めっき」と平仮名表記を採用しています。
昔は、金などの金属を水銀に溶かし、それを加熱して水銀を蒸発させる手法でメッキが行われていました。金が水銀に溶けて見えなくなることから「滅金(めっきん)」と呼ばれ、時代とともに「鍍金(めっき)」になったとされています。

■メッキを行う理由

自動車

なぜ、素材にメッキで表面処理を行う必要があるのでしょうか。メッキによって得られる効果を3つご紹介します。

・見た目の向上

製品の表面に金属皮膜を作ることで、金属特有の光沢を付与し、見た目を美しく仕上げられます。見た目を向上するためのメッキは「装飾メッキ」とも呼ばれ、金メッキや銀メッキ、プラチナメッキなどが代表的です。
自動車や電化製品の外装、アクセサリーなど、さまざまなシーンで見ることができます。

・サビの防止

金属製の商品がサビると、もろく壊れやすくなったり、見た目が悪くなったりといった弊害が現れます。メッキによって素材の表面に皮膜を生成すれば、耐食性を高めてサビを防止したり、表面の強度を高めたりすることも可能です。
防食メッキや防錆メッキと呼ばれ、多くの金属部品や機械部品の表面に施されています。

・機能性の向上

メッキに使用する金属が持つ特性を活用して、製品の機能性を向上させることも可能です。
機能メッキと呼ばれます。
例えば、製品の導電性や耐熱性、耐水性、耐摩耗性を向上させたり、光の反射を抑えたりといった特性を付与することが可能です。
電子部品や機械部品などで使われることが多く、現代生活に欠かせない技術といえるでしょう。

■メッキ処理の種類

bisu

メッキ処理は、金属を素材表面に付着させる方法に応じて、大きく湿式メッキ法と乾式メッキ法の2つに分けられます。湿式メッキ法は、さらに電解メッキと無電解メッキに分けることが可能です。
代表的なメッキ処理の種類と、それぞれの特徴をご紹介します。

・電解メッキ(電気メッキ)

金属イオンを含んだ溶液に皮膜としたい金属と、メッキ処理を施したい素材を入れ、それぞれに電極をつないで電流を流すことで、表面皮膜を生成するのが電解メッキです。電気メッキとも呼ばれます。見た目や防錆性、耐摩耗性、導電性の向上を目的に行われ、メッキ処理の中では最も一般的な方法です。

比較的短時間で表面処理を施せますが、生成される皮膜の厚さは電流によって変わるため、製品の形状によっては処理にバラつきが生じる恐れがあります。

・無電解メッキ

金属イオンを含んだ溶液に素材を入れるのは電解メッキと同様ですが、無電解メッキは電気を流すのではなく、化学反応を起こすことで皮膜を生成します。電気を通さない樹脂などの素材にもメッキ処理を施せるのがメリットです。
電解メッキを行う前処理として行い、導電性のない製品に無電解メッキを施すことで電気を通しやすくする場合もあります。

一方で、化学反応が起こらない場合は、表面処理を上手に行えません。

・乾式メッキ

乾式メッキは、名前の通り水溶液を使わずに表面皮膜を生成する方法です。高温で溶かした金属に素材を浸して表面に皮膜を生成する方法や、真空空間内で金属を加熱・蒸発させ、素材表面に付着させる方法、化学反応を利用して皮膜を生成する方法などがあります。

電解メッキや無電解メッキといった湿式メッキ法が主流ですが、乾式メッキが採用されることもあります。

■メッキと塗装の違い

塗料

メッキと同じく、有名な表面処理のひとつに「塗装」が挙げられます。塗装とは、ローラーやスプレーを使った塗布または吹付によって、素材表面に塗膜を形成する処理のことです。

塗装も製品の表面に皮膜を生成する処理で、機能性の追加や装飾、防錆などを目的に行われるなど、メッキとは多くの類似点があります。
2つの大きな違いは、メッキは金属の皮膜を生成するのに対し、塗装は樹脂など金属以外の皮膜を生成する点です。
メッキと塗装の特徴をまとめると、以下のようになります。

【メッキの特徴】
・皮膜の均一性や密着性、耐久性に優れ、剥がれにくい
・複雑な形状でも均一に皮膜を作れる
・金属の光沢や質感を得たり、特性を付与したりすることが可能
・処理には大掛かりな設備が必要で時間がかかる
・メッキの上から再度メッキ処理を行うことはできず、素材によっては処理そのものを行えない

【塗装の特徴】
・スプレーやローラーなどがあれば個人でも行え、コストも安価
・塗料の種類が多く、多彩な色彩から選べる
・難燃性や防カビ、抗菌性といった、メッキとは異なる機能を付与できる
・塗装の上から塗り直しを行うことも可能
・皮膜にムラが生じやすく密着性も弱いため、塗装そのものが長持ちしにくい

このように、メッキと塗装は目的こそ同じですが、細かな特徴が異なります。素材や用途に応じて、使い分けることが重要です。

ストエキオリジナル什器では、ハンガーラックやフック等「掛ける」部分の多くは、硬質で剥がれや傷に強い「メッキ」処理をしています。スチール什器本体等は低コストで加工できる塗装商品も多いです。

■紛らわしい表面処理の種類

メッキ塗装

表面処理の中には、メッキ塗装や電着塗装(電着メッキ)など、名前を見ただけではメッキなのか塗装なのか判断が難しいものも存在します。
紛らわしい表面塗装の種類と概要は、以下の通りです。

・メッキ塗装

素材の表面に銀を含んだ塗料を吹きかけたら銀を析出(液体から個体が分離する現象)し、その上に透明な塗装を行うのがメッキ塗装です。金属のような光沢を得ることができます。

メッキのような質感を得られる一方で、はがれやすく均一性もメッキほど高くありません。名前こそ紛らわしいですが、メッキに似ている塗装の一種と考えることができます。

・電着塗装

電着塗装とは、塗料を溶かしたものに素材を浸し、電気を流して表面に塗膜を形成する方法です。電気メッキと加工方法が似ているので、電着メッキと呼ばれることもあります。

この方法では、素材の表面処理に使用するのが金属ではなく塗料です。そのため、メッキではなく塗装の一種に分類されます。

■用途に合わせたメッキと塗装の使い分けが重要

メッキは、素材の表面に金属の皮膜を生成して、見た目や機能性を向上させる表面処理の一種です。塗装も素材の表面に薄い膜を作るものですが、それぞれ特徴や使用できる環境、適した素材などが異なります。用途に応じて、使い分けることが重要です。

また、メッキと塗装の違いを知っておけば、表面処理を施された商品を購入する際にも役立ちます。例えば、雨ざらしの場所に設置する予定なら防錆メッキで耐食性を高めてある商品を購入する、DIYなどで色を変える可能性があるなら塗装されたものを選ぶなど、より用途に適した使い方ができるようになるはずです。
今回ご紹介した内容を参考に、メッキと塗装の違いや特徴を理解しておきましょう。

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