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旧正月とは? 日本でなじみが薄い理由や各国の旧正月をご紹介

ニュース番組などで、「旧正月」という言葉を耳にしたり、アジア諸国が旧正月を祝っている場面を見たりしたことがあるはずです。旧正月の期間はアジア諸国の観光客が日本に多く訪れるなど、日本国内もにぎわいを見せることがあります。
しかし、日本人にはあまりなじみがない風習なので、時期や祝い方といった具体的な内容はよく知らないという方が多いかもしれません。
ここでは、旧正月の概要や日本ではなじみが薄い理由、アジア各国の旧正月の祝い方などについてご紹介します。

【目次】

■旧正月とは?

正月のおやつ

旧正月とは、中華圏における「旧暦」のお正月(1月1日)のことです。旧暦は、太陽の運行と月の満ち欠けを基準にして日付を数える「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」を指します。
太陰太陽暦以外の暦には、以下の種類があります。

・月の満ち欠けだけで日付を数える「太陰暦」
・地球が太陽の周りを1回転する期間を1年とする「太陽暦」

太陽暦はさらに、古代エジプトで使われていた「シリウス歴(エジプト歴)」や、古代ローマの政治家ユリウス・カエサルが制定した「ユリウス暦」、ローマ教皇グレゴリウス13世が制定した「グレゴリオ暦」などに分けられます。
現在日本をはじめ、世界各国で使われているのはグレゴリオ暦です。「新暦」とも呼ばれ、日本のお正月は新暦における1月1日に祝われます。

日本ではなじみが薄い旧正月ですが、中国や台湾、韓国、ベトナム、マレーシアなど、アジア圏には旧正月を祝う国が多くあります。
旧正月を祝うアジア諸国では、旧正月の前後は1週間ほどの長期休暇になることも多いです。日本に旅行に来るアジア諸国の人々の姿を、ニュース番組などで見たことがある方は多いのではないでしょうか。

■旧正月の日付はいつ?

カレンダー

新暦は1年を365日(うるう年は366日)としていますが、旧暦は1年を約354日として、数年に1度「うるう月」を入れて季節と暦のズレの調整を行っています。「うるう」とは、「閏(うるう)」のことで、平年よりもより日数、月が多いことを指します。
旧正月は旧暦に基づくお正月なので、新暦に置き換えると毎年日付が大きく変わるのが特徴です。大まかな目安としては、1月下旬から2月中旬頃が旧正月に当たります。

2023年:1月22日
2024年:2月10日
2025年:1月29日
2026年:2月17日
2027年:2月6日
2028年:1月26日
2029年:2月13日
2030年:2月3日
2031年:1月23日

■日本で旧正月を祝わない理由

鏡餅

日本は、アジア圏にありながら全国的に旧正月を祝う風習がない国のひとつです。日本でも、明治維新の前までは旧暦が使われていて、お正月も旧正月の時期に祝われていました。

しかし、明治5年(1872年)11月9日に政府が暦を新暦に切り替えるという布告を発布しました。太政官布告第337号と呼ばれるもので、1年を365日、1月~12月に分けたものです。旧暦明治5年の12月3日が新暦における明治6年1月1日となり、新暦への切り替え以後、「旧正月」の風習は次第に日本では廃れていきました。

日本が新暦を採用して旧正月が廃れた理由ははっきりとしませんが、欧米諸国の文化を積極的に受け入れていた時期だったためという説があります。
また、新暦への切り替えは布告からわずか1ヶ月弱で行われています。明治6年は、旧暦ではうるう月が入り1年が13か月になる年です。財政的な理由で13回分の給料を支払うのが難しかったため、新暦採用を急いだともいわれています。

■日本で旧正月が残っている地域も

提灯

全国的にはなじみが薄くなった旧正月ですが、日本でも沖縄や南西諸島など旧正月を祝う文化が残っている地域はあります。
沖縄では正月は「ソーグヮチ」と呼ばれ、旧正月の朝に組み上げた「若水」や、鏡餅に似た「ウチャヌク」を神様(ヒヌカン・火の神)にお供えするそうです。
大漁祈願などを願う意味もあり、特に漁業が盛んな地域では旧正月の風習が多く見られます。

また、正月料理に豚肉を使うのも、沖縄ならではの風習といえるでしょう。豚の骨付き肉を煮込んで作った「ソーキ汁」や、昆布と豚肉を炒め煮した「クーブイリチー」、豚の三枚肉を泡盛などで煮込んだ角煮「ラフテー」などは沖縄の旧正月の定番料理です。
沖縄では、旧正月以外にも年中行事や地域のお祭りが旧暦に沿って行われています。

沖縄以外では、中国人が多く住んでいる横浜や神戸、長崎などの中華街では、旧正月に合わせて盛大なイベントを行っています。

■海外の旧正月

旧正月料理

日本を除くアジア諸国には、旧正月を祝う国が多く見られます。ここからは、海外の旧正月事情をいくつかご紹介します。

・中国

旧正月と聞いてすぐに思い浮かぶのが中国ではないでしょうか。中国の旧正月は「春節(しゅんせつ)」と呼ばれる伝統的な祝日で、1年の中でも一番盛り上がりを見せる時期です。
例年、中国では春節前夜(大晦日)から1週間ほどの大型連休となります。新型コロナウイルス感染症の拡大前は、春節を利用して日本に旅行に来る中国人観光客が多く見られました。

旧正月の時期になると、道路や建物が赤い灯篭や提灯で飾りつけられたり、花火や爆竹を打ち上げたりと、盛大なお祝いが行われます。
日本と同じように大晦日に家族で集まったり、年長者が若い人にお年玉をあげたりする風習もあるようです。

正月料理としては、富を表す水餃子や繁栄を意味する魚料理、縁起が良いとされる春巻きなど、縁起を担いだ料理が食べられています。
また、幸福を逃すことにつながるため、旧暦1日には髪の毛を洗ったり掃除をしたりしてはいけないなど、地方には面白い風習も残っているそうです。

・韓国

韓国では、旧正月のことを「ソルラル」、または新正(シンジョン・新暦のお正月)に対して旧正(クジョン)と呼ばれます。日本のお正月と同様に、家族親族が揃って新年を迎えるのが特徴です。

ソルラルの朝は、お風呂に入って身を清めてから正装に着替え、神様や先祖を祭る「茶礼(チャレ)」と呼ばれる儀式を行います。儀式が終わったら、お墓参りに行ったり、韓国風お雑煮の「トックク」を食べたりするのが伝統です。
トッククはお餅(トック)と野菜などを煮たスープで、お餅には長寿の願いを込めて細長いものを使います。

・ベトナム

ベトナムでは、旧正月は「テト」と呼ばれます。他の国の例に漏れず、家族と一緒に過ごすのが一般的です。町中が金色や赤色で彩られ、桃や梅の花が飾られるなど、華やかな雰囲気に包まれます。
ベトナムは祝日が少ないため、長期休暇が取れる数少ないチャンスでもある旧正月の時期は、お店や公的機関もお休みになることがあるそうです。

地域によりますが、ベトナム風のちまき「バインチュン」や春巻き、鶏肉などが旧正月の料理の定番です。
また、旧正月当日には、ベトナム風の獅子舞「ムアラン」が恒例行事として行われます。

・マレーシア

多民族国家で中華系の人々も多く暮らしているマレーシアも、旧正月を祝う国のひとつです。「チャイニーズ・ニューイヤー」や「春節」と呼ばれます。
赤い提灯を飾ったり赤い服を着たりと、町全体が赤一色で染まるのが特徴です。

赤い袋(紅包・アンパオ)にお年玉を入れて渡したり、獅子舞で新年をお祝いしたりと、中国文化の影響を色濃く残しています。
日本のお年玉と異なり、アンパオは日頃お世話になっている大人にも配るそうです。

■旧正月についての知識を深めよう

沖縄や中華街などの一部地域を除いて、日本ではなかなかなじみが薄い旧正月ですが、アジア各国では新暦のお正月よりも盛大に祝われる大切な行事のひとつです。大型連休を利用して日本に旅行に来られる外国人も多く見られます。
日本のお正月と通じる部分もあるので、各国の旧正月の習慣や風習を調べてみるのも、面白いかもしれません。

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