【目次】
■ひな祭りの由来と歴史

女の子の健やかな成長や健康、幸福を願い、3月3日に行われる行事がひな祭りです。3月3日は「上巳(じょうし)の節句」と呼ばれ、節句(季節の節目)の中でも重要な「五節句」のひとつです。
五節句は他にも、1月7日の人日(じんじつ)や、5月5日の端午(たんご)、7月7日の七夕(たなばた・しちせき)、9月9日の重陽(ちょうよう)が挙げられます。
古代中国では、奇数が重なる日は縁起が悪いとして、上巳の節句に合わせて川で身を清める儀式が行われていました。この風習が平安時代(794~1185年)の日本に伝わると、人形に穢れを移して水に流す「流しびな」という行事になり、現在のひな祭りに転じていったそうです。
■ひな祭りに欠かせないひな人形の基礎知識

当初は流しびなを行っていたひな祭りですが、現在のようにひな人形を飾るようになったのは、いつ頃なのでしょうか。
飾る理由や種類、飾り方など、ひな人形に関する基礎知識をご紹介します。
ひな人形を飾るようになった由来
平安時代の宮中では、「ひいな遊び」と呼ばれるお人形遊びが行われていました。前述の流しびなと、ひいな遊びが徐々に合わさり、女の子の幸せを願って人形を飾る風習ができたとされています。
また、現在のようにひな人形を段飾りにするようになったのは、江戸時代に入ってからのことです。当時は武家や貴族、裕福な町人といった一部で行われていた風習で、一般家庭でもひな人形を飾るようになったのは明治以後のこととされています。
ひな人形の種類
どれも同じに見えるひな人形ですが、関東で作られる「関東雛(かんとうびな)」と、京都で作られる「京雛(きょうびな)」の2種類に大きく分けることができます。
2種類の大きな違いは、男雛(お内裏様)と女雛(お雛様)の座る位置です。関東雛では、向かって左(ひな壇の右側)に男雛が、向かって右に女雛が座りますが、京雛では男女の位置が入れ替わります。
これは、かつて日本の朝廷では左側が上座とされていたことが理由です。関東雛は、右側が上座という現代基準のマナーに合わせて、右側に男雛が座ります。
また、顔立ちもそれぞれ異なります。関東雛は目鼻立ちがはっきりした現代風の顔立ちをしていますが、京雛は目が切れ長で、公家のようなおっとりした顔をしているのが特徴です。
ひな人形の飾り方
ひな人形は、ひな壇と呼ばれる台に飾られます。お祝い事には奇数が良いという考え方から、7段や5段、3段など、奇数段で飾るのが基本です。
段ごとに飾る人形の種類は、以下の通りです。
【段ごとに飾る人形の種類(7段飾りの場合)】
・1段目(最上段):男雛と女雛を飾る段です。人形の隣には「ぼんぼり」や桃の枝なども飾られます。
・2段目:お酒を注ぐ酒器や、それを乗せる台を持っている、「三人官女(さんにんかんじょ)」を飾ります。
・3段目:「五人囃子(ごにんばやし)」を飾る段です。向かって左から太鼓、大皮鼓(おおかわつづみ)、小鼓、笛、扇を持った人形が来るように飾ります。
・4段目:「随身(ずいじん)」を飾る段です。向かって右が老人の左大臣、左に若者の右大臣を飾ります。
・5段目:「仕丁(しちょう・してい)」を飾る段です。仕丁は宮廷の雑用係のことで、「泣き上戸」「笑い上戸」「怒り上戸」の3人を飾ります。
・6段目:婚礼道具が置かれる段です。鏡台やたんす、火鉢など、日常的に使う道具を並べます。
・7段目: かごや重箱、牛車を並べる段です。
5段飾りの場合は4段目に随身と仕丁、5段目に婚礼道具を、3段飾りの場合は五人囃子の周囲に婚礼道具を飾るようにします。
また、近年は男雛と女雛の2人だけが座る「親玉飾り」も、スペースを取りにくいことから人気です。