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樹脂とプラスチックはどう違う? 種類ごとの特徴を知って使い分けよう

木から出ている樹脂

「樹脂」は、さまざまなものに使われていて、現代の生活に欠かせない素材のひとつです。樹脂と聞くと、プラスチックを思い浮かべる方は多いかもしれませんが、実はさまざまな種類があり、それぞれ異なる用途で使われています。                                           
ここでは、樹脂の概要や種類ごとの特徴、それぞれの用途などをご紹介します。

【目次】

■「樹脂」はプラスチックとは違う?

樹脂の粒

樹脂とは、脂(ヤニ)と呼ばれる、樹木から取れる植物由来の天然物のことです。プラスチックのイメージが強いですが、本来は樹液が空気に触れて固まったものを「樹脂」と呼びます。松脂(まつやに)や漆(うるし)が代表的な樹脂の例です。

技術の発展に伴い、石油などを原料にして樹脂に似た物質が人工的に作られるようになると、樹木から取れるものを「天然樹脂」、人工的に作られたものを「合成樹脂」と呼び分けるようになりました。この合成樹脂が、一般的には「プラスチック」と呼ばれるものです。

天然樹脂と合成樹脂を総称する言葉が「樹脂」ですが、特に工業の分野においては、樹脂というと合成樹脂(プラスチック)を指す言葉として一般化しています。

■天然樹脂の種類

べっ甲

天然樹脂は、樹液から取れる植物由来のものが一般的ですが、動物由来のものを含めることもあります。
それぞれの代表的な種類や特徴は、以下の通りです。

植物由来

代表的な植物由来の天然樹脂としては、漆や松脂、天然ゴム、琥珀(こはく)などが挙げられます。

【漆】
ウルシの木から取れる樹脂で、触るとかぶれることでも知られています。塗りあがりが美しく、固まると熱や油などに耐性を持つことから、日本では食器や家具の塗料として広く使われてきました。接着剤としても使われます。

【松脂】
松の木から取れる天然樹脂が松脂です。ロジンとテレビン油が主成分で、野球やボルダリング、ハンドボールなど、さまざまなスポーツで滑り止めとして使われています。
また、弦楽器の弓に塗って滑りを調整する目的で使われることもあります。

【天然ゴム】
ゴムの木の樹液を固めたものです。高い弾力性を持ち、消しゴムやタイヤ、ホースなどの素材として使われてきました。
ただし、性質や品質は、化学的に作られる合成ゴムよりも安定しません。

【琥珀】
樹液が固まり化石になったものです。非常に硬く、宝石や装飾品、ニスの原料として使われます。

動物由来

動物由来の天然樹脂には、膠(にかわ)やカゼイン、べっ甲などの種類があります。

【膠】
動物の皮膚や骨のコラーゲンを原料に作られる、純度の低いゼラチンが膠です。古くから接着剤として使われている他、絵の具を溶かす素材や染色といった用途でも活用されます。

【カゼイン】
牛乳由来のタンパク質から作られた樹脂です。象牙に似た白い外観をしていて、染色を行いやすいことから、ボタンや印鑑などに使われます。

【べっ甲】
ウミガメの甲羅から作られる樹脂です。加工が簡単なので、くしや簪、工芸品などに使われます。

また、天然アスファルトのような、鉱物が由来の樹脂を天然樹脂に含むこともあります。

■合成樹脂の種類

樹脂の容器

合成樹脂(プラスチック)も、大きく熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の2種類に分けられ、さらにそこから細分化されています。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の違いや特徴は、以下の通りです。

熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(樹脂が硬いガラス状態からゴム状または液状になる温度帯のこと)や融点に達すると柔らかく、冷却すると硬くなる合成樹脂です。分子の形状が線状なので、温度の変化によって液体と固体の状態を行き来することができます。
通常のペットボトルやプラスチック容器に熱いお湯を注ぐと、柔らかくなってしまうのが、熱河塑性のわかりやすい例です。

熱を加えることで柔らかくできるため、熱可塑性樹脂で作られた素材はリサイクルすることができます。ビニール袋や梱包材など、日常のさまざまな場面で見られるプラスチックの多くが、この熱河塑性樹脂です。

熱硬化性樹脂

熱硬化性樹脂は、加熱すると硬くなる特徴を持つ合成樹脂です。1度硬化させてしまうと、再度加熱しても柔らかくはなりません。分子の形状が強固で、機械的強度や耐熱性、耐摩耗性に優れているのが特徴です。
ただし、硬いという特徴を持つため、耐衝撃性は熱可塑性樹脂に比べると劣ります。

耐熱性や硬度の高さを活かして、工業用部品や電気絶縁材、接着材などの用途で使われています。

■熱可塑性樹脂の種類と特徴

ストロー

日常的に使う機会が多い熱可塑性樹脂は、さらに汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチックの2種類に分けることができます。
それぞれ用途が異なるので、違いを知っておくと商品選びに役立つでしょう。

汎用プラスチック

耐熱性がそこまで高くなく、100℃前後で変形が始まるプラスチックが「汎用プラスチック」です。日常的にも広く使われていて、生産されるプラスチックの8割を占めるとされています。安価に生産できるのが特徴です。
ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ABS(ABS樹脂)などが、代表的な汎用プラスチックとして挙げられます。それぞれの特徴は、以下の通りです。

【ポリエチレン(PE)】
耐水性や耐薬品性、耐油性に優れているのが特徴です。食品用のラップフィルムや梱包材に使われています。

【ポリプロピレン(PP)】
熱可塑性樹脂の中では耐熱性に優れているのが特徴です。医療器具や電子レンジ対応の容器、自動車部品に使われます。

【ABS(ABS樹脂)】
強度や剛性、靭性などのバランスが良く、加工性にも優れています。雑貨類や食品保存容器、文具など、幅広い用途で使われています。

エンジニアリングプラスチック

エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は、汎用プラスチックよりも強度や耐熱性に優れているのが特徴です。明確に決まっているわけではありませんが、一般的には150℃以上の耐熱性を備えています。
電子機器や自動車部品に使われるポリアミド(PA)、産業機械に使われるポリアセタール(POM)、スマートフォンの部品に使われるポリカーボネート(PC)などの種類があります。

また、エンジニアリングプラスチックの中でも、機械的強度が特に高いものはスーパーエンジニアリングプラスチックと呼ばれます。宇宙・航空用部品や自動車部品で使われるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)などが一例です。

■熱硬化性樹脂の種類と特徴

モルタルの壁施工

熱硬化性樹脂も、フェノール樹脂(PF)やエポキシ樹脂(EP)などの種類に分けることができます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

フェノール樹脂

フェノール樹脂は、1907年に初めて人工的に作り出された熱硬化性樹脂です。耐熱性や耐久性、耐薬品性、耐水性、電気絶縁性が高く、機械部品をはじめ、自動車や住宅の断熱材、結合剤、補強材、やかんの取手といった用途で使われています。

エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は、単体ではなく別の硬化剤と組み合わせて使われます。耐水性や耐食性に優れているので、自動車や船舶などの塗料、腐食防止のためのコーティング剤に使われることが多いです。

また、接着性に優れていて、金属やガラス、コンクリートにも使えることから、接着剤としても活用されています。

■種類ごとの違いを知って使い分けることが大切

日常生活のさまざまな場所で使われている樹脂ですが、大きく天然樹脂と合成樹脂(プラスチック)に分けることができ、さらにそこから細分化されています。
それぞれ特徴が異なるため、「使われている樹脂がどのような特性を備えているのか」を知っておくことがポイントです。樹脂素材が使われている商品を見た際に、原材料を確認するだけで、特徴や用途などを把握しやすくなります。

樹脂素材ごとの違いを知って、適切に使い分けられるようになりましょう。

■店舗用品と樹脂

ストア・エキスプレスでは、合成樹脂(プラスチック)の

・軽くて丈夫
・金属に比べてサビない
・金属に比べて廃棄がしやすい

という特性を活かして、軽量化マネキンやハンガー、商品を陳列するフックやラック、POP用品といったアイテムに樹脂を採用しています。
素材の特徴を知ったうえで、店舗用品を選んでみるのもおもしろいかもしれません。

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