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スチールの基礎知識。什器で使われる他の素材の特徴も押さえよう

スチール製部品

スチール素材で作られた製品は、日常生活のさまざまな場面でよく目にします。生活に欠かせない素材のひとつで、耳にしたことがある方は多いはずですが、具体的にどのような特徴を持つ素材なのでしょうか。
ここでは、スチールの特徴や主な用途、比較されることが多く用途が似ている他の素材との違いなどをご紹介します。

【目次】

■スチールとは

スチール製の杭

スチール(Steel)は、鉄を主成分として、0.02~2.14%程度の炭素や微量のマンガン、リンなどを加えて作る合金の一種です。日本語では鋼鉄または鋼と呼ばれます。

自然に存在する純度の高い鉄は、脆く柔軟性に欠ける、強度が弱い、酸化してサビやすいといったデメリットの多い素材で、そのままでは使うことができません。
その鉄に微量の炭素を含ませることで、強度や扱いやすさを向上させているのがスチールです。
「鉄骨」や「鉄筋コンクリート」など、日常生活において「鉄」と呼ばれるものは、基本的には「スチール(鋼)」のことを指します。

炭素の割合が増えるほど硬度が上がり、低くなるほど柔軟性が上がるのが、スチールの特徴のひとつです。炭素の割合が高いほど折れやすく、低いほど曲がりやすいと言い換えることもできます。
ただし、硬度と柔軟性を同時に高めることはできません。用途に応じて、適切な硬さのスチールを選ぶ必要があります。

■スチールの特徴

スチール製のフォーク

建材や機械の部品、スチールラックのような什器の素材、缶など、日常的にもさまざまな場面で使われているスチールですが、どのような特徴を備えているのでしょうか。
スチールのメリット・デメリットとしては、以下の点が挙げられます。

スチールのメリット

スチールは、加工性に優れているのが特徴です。切断や溶接、切削(工具で対象物の一部を削り取ること)など、さまざまな加工を行えるので、多くの用途で使うことができます。

優れた加工性を備えながら剛性も高く、曲げやねじりに対する耐性も備えています。変形しにくく、精密な部品を作りやすい点も特徴です。
また、重さに対する強度も持っているので、少ない材料でも強度を維持することができます。

多くのメリットを持ちながら、ステンレスやアルミニウムといった他の金属よりも安価で、使い勝手に優れている素材といえるでしょう。

スチールのデメリット

メリットが多い一方で、デメリットがないわけではありません。
スチールは、ステンレスやアルミニウムに比べると酸化しやすく、手で触ったり、外気に触れたりするとサビる恐れがあります。熱に弱く、高温になると強度が落ちて歪みやすくなる点もデメリットです。
用途に応じて、メッキや塗装といった表面処理を施してサビにくくする、耐火材を使用して熱に対処するなどの対策を行う必要があります。

比重(1ccの水との重量比)が7.85と、アルミニウム(2.7)に比べて3倍近い重さがある点も、耐久性より軽さを求める製品の場合はデメリットになる可能性があります。

■スチールはどんなものに使われる?

スチール製のハンガー

スチールは、加工が簡単で強度がある、価格も安価などの特性を生かして、さまざまな場所で使われています。
スチールが活用されている製品やシーンは、以下のとおりです。

・高層ビルや橋などの大きな建物の建設
・自動車や鉄道などの部品
・産業機械
・スチールラックやロッカー、買い物かご、台車、ソファーの脚などの什器や家具
・ハンガーやスチール缶のような日用品 など

■スチールの種類

スチール製の鉄骨

スチールは、強度や特性から細かく細分化されています。ここからは、JIS規格の規定によって定められている「SS材」と「SC材」の違いについてご紹介します。

SS材

SS材は「Steel Structure」の略称で、「一般構造用圧延鋼材」が正式名称です。含まれている炭素の量は0.15~0.2%程度で、鋼の中でも柔らかい「軟鉄」に分類されます。
汎用性が高い素材で、建設物の構造部品や、鉄道車両、船、自動車などの構造用部品として使われることが多いです。

SS材は汎用性が高いという特徴を持ちますが、溶接加工には向きません。溶接性を求める場合は他のスチールを選択する必要があります。
SS材の中では、SS400と呼ばれる種類が主流です。

SC材

SC材は「Steel Carbon」の略称で、「機械構造用炭素鋼鋼材」が正式名称です。含まれている炭素量は0.1~0.6%で、高い機械的強度(圧縮や引っ張りといった物理的な外力に対する耐久力)を備えています。

一般的によく使われるSC材は、S45Cと呼ばれる種類です。真ん中の数字は炭素量を表していて、S45Cの場合は「0.45%の炭素を含むSC材」という意味になります。

SC材は、強度が必要な部品や、精密機械の部品などで使われることが多いです。SS材と異なり熱処理にも対応していますが、冷却の際にひび割れが発生する場合があります。

■比較されやすい他の素材の特徴

ステンレス製のシンク

スチールと比較されることが多い素材に、ステンレスやアルミニウムがあります。どちらも什器や家具などで広く使われている素材ですが、どのような特徴を備えているのでしょうか。
ステンレスとアルミニウムの特徴をご紹介します。

ステンレスの特徴

ステンレスと呼ばれることが多いですが、正式にはステンレススチール(Stainless Steel)といいます。鉄を主成分にクロムやニッケルを加えた合金で、酸素と結合したクロムが表面に薄い被膜を形成することで、サビを防いでいます。

ただし、名前こそ「サビない(ステンレス)鋼(スチール)」ですが、絶対にサビないわけではありません。環境や使用状況によってはサビが発生する恐れがあります。

スチールに比べると価格は高いですが、耐食性や耐熱性に優れていて、表面がサビにくいだけでなく、熱による変形に強いという特徴を持っています。表面に美しい光沢が見られるのもステンレスの魅力です。

耐食性や耐熱性、表面の美しい光沢などを生かして、キッチンの流し台や水道の蛇口、食器、自動車部品などに幅広く使われています。

アルミニウムの特徴

アルミニウム(Aluminum)は、主成分が鉄のスチールやステンレスとは異なり、鉄以外の原料(ボーキサイト)から作られる非鉄金属の一種です。
スチールやステンレスに比べて軽い、耐食性が高くサビにくい、比強度(密度あたりの引っ張り強さ)が高い、磁気を帯びないなど、さまざまな優れた特性を備えています。
軽さと強度を両立できることから、建材やアルミ缶、電球の口金、航空機、船舶、スマートフォンの部品など、さまざまな用途で使われる素材です。

加工性にも優れていますが、スチールに比べると硬さや耐久性は低めで、凹みやすく傷つきやすいので注意が必要です。
また、スチールに比べると価格が高い点もデメリットといえます。

■特徴を踏まえてスチール製品を活用しよう

スチールは、人々の暮らしを支える重要で身近な素材のひとつです。建材や自動車部品をはじめ、店舗で使用するラックやハンガー、買い物かごなど、日常生活で目にするアイテムにも多く使われています。

ただし、スチールにはデメリットもいくつかあります。水濡れの恐れがある場所にはステンレス製の素材を使う、強度を求めている場合はスチール製を使うなど、似た用途で使われている素材の特徴も踏まえたうえで、シーンに適したアイテムを使うことが大切です。

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