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間伐材とは? SDGsにもつながる話題の材料について知ろう

伐採された木材

国土面積の約3分の2を森林が占める日本は、世界の中でも国土における森林の面積が広い国として有名です。古くから住宅や家具、小物など、幅広い用途で木材を使ってきました。
木材の材料になる木を育てるためには、森林環境を健全に保つ間伐作業が欠かせません。
また、間伐作業によって発生する間伐材の有効利用も重要です。
ここでは、間伐材の基礎知識やメリット・デメリット、間伐にまつわる課題などをご紹介します。

【目次】

■間伐材とは?

重機と木材

樹木が成長して森林が混みあってくると、日光が地表まで届かなくなり、植物の成長を妨げてしまいます。森林を健全な状態に保つために、混み具合に応じて樹木を間引き、残した木の成長を促す作業が「間伐」です。間伐を行うことで、次のような効果が期待できます。

【植物の育成につながる】
植物が育つためには日光が必要ですが、木が密集していると十分に日光を浴びることができません。適切に間伐を行い、日光を十分に行き渡らせることで、健全な木の成長を促せます。地表に日光が差し込みやすくなることでさまざまな植物が育ち、土壌が豊かになる点も効果のひとつです。

【水害や土砂災害の緩和】
木がしっかりと根を張ることで、大雨が降った際にたくさんの水をためられるようになります。洪水を緩和したり、水資源を確保したりすることが可能です。
また、木の根が杭の役割を果たすため、土砂崩れや表土流出といった災害の防止にもつながります。

このように、間伐は森林の健全な成長を促し、生態系を維持するために欠かせない重要な作業といえるでしょう。
そして、間伐によって伐採された木材を「間伐材」と呼びます。細い幹や不良材というイメージを持ちやすいですが、「間伐材=品質で劣る安い木材」とは限りません。
森林の混み具合に応じて樹木を伐採するため、場合によっては高品質な木材が間伐材になることもあります。

■間伐の目的ごとの違い

木々が茂った森

間伐と一口にいっても、間引く木の選び方や目的から大きく2 種類に分けることができます。間伐の種類とそれぞれの違いは、以下のとおりです。

定性間伐

定性間伐は、形状や品質、混み具合、位置関係などを踏まえて、間引く木を決める方法です。育ちが悪い木や、折れている木などを優先して伐採し、健全な木の育成を促します。
定性間伐は、伐採する木を選ぶ方法から、「下層間伐」と「上層間伐」の2種類に大きく分けられます。

【下層間伐】
下層間伐は、成長の悪い木や形状の悪い木を間引く方法です。「普通間伐」と呼ばれることもあります。
弱っていたり、成長が悪かったりする木を伐採するため、間引く木を選定しやすいのが特徴です。

【上層間伐】
大きく育ったり価値が高かったりする木を間引く方法です。優性木間伐と呼ばれることもあります。価値の高い木を選定して伐採するので、収益性に優れているのが特徴です。
ただし、森林の健全性を損なう恐れがあるため、管理が行き届いている森林でしか行うことはできません。

定量間伐

定量間伐は、人工林の木の密度を踏まえて、残す量を事前に決めてから行う方法です。木の成長の良しあしに関わらず、機械的に列ごと木を切り取っていきます。
間引く木を選定する必要がなく、かかり木(伐採した木が想定外の方向に倒れ、地面まで倒れずに他の木に引っかかった状態)が起こりにくいなど、低コストかつ安全に作業を行えるのが特徴です。

■間伐材の主な使われ方は?

柱になった建築木材

間伐は、森林の健全な育成につながるだけでなく、伐採した間伐材をさまざまな用途で使うことができます。紙や割り箸の原料、建築建材、土木用材などが、間伐材の使われ方の例です。

また、木質チップに加工してから燃料にしたり、集成材(小さな木材を組み合わせて作る人工的な材木)にして家具や什器の材料として使ったりすることも可能です。
近年は、SDGsや脱プラスチックにつながる素材ということで、ノベルティーやおもちゃ、紙カップなどに間伐材を採用する取り組みも見られます。

■間伐材を使用するメリット・デメリット

meritとdemerit

間伐材を使用した商品は数多くありますが、使用する際はメリットとデメリットを押さえておくことが大切です。
間伐材を使用するメリット・デメリットとしては、以下の点が考えられます

メリット

「木を伐採する」と聞くと、環境破壊につながるイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、適切な間伐は健全な森林環境の維持に欠かせない作業です。
間伐作業で必ず発生する間伐材の活用は、自然環境に貢献したり、林業を活性化させたりすることにつながります。豊かな自然を守ることにつながるのは、間伐材を活用する大きなメリットといえるでしょう。
また、低コストなことが多い点も、間伐材のメリットのひとつです。

デメリット

一般的な下層間伐では、成長に劣っていたり、形が悪かったりする木を間引きます。無垢材としては使えないサイズのものがほとんどで、集成材として再利用されることが多いです。木そのものの質感を生かす用途には向かない可能性がある点に注意しましょう。

コストの関係から間伐した樹木がそのまま放置されるケースも多く、流通量自体があまり多くない点もデメリットといえます。

■SDGsにもつながる間伐材

生い茂った広葉樹

間伐材の利用は、「SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)」の達成にもつながります。これは、適切に間伐を行なうことで植物の育成が進んだり、木の根がしっかり張ったりして、土壌が豊かになるためです。木の根が張って土壌が豊かになれば、土砂災害の抑制効果も期待できます。

具体的には、適切な間伐や間伐材の使用は、SDGsにおける
「ゴール6.安全な水とトイレを世界中に」
「ゴール11.住み続けられるまちづくりを」
「ゴール13.気候変動に具体的な対策を」
「ゴール15.陸の豊かさも守ろう」などの目標達成につながります。

SDGsに関しては、以下の記事で詳しく紹介しているので、併せてご確認ください。

■間伐材の抱える問題

切断された木材の断面

環境保全やSDGsの目標達成につながる間伐材の利用ですが、多くの問題を抱えているのが現状です。

例えば、ペーパーレス化や海外製の安価な製品の輸入、別素材の使用などが進んだ結果、近年は間伐材の利用量が減ってきています。間伐自体に手間やコストがかかることから、実施が見送られるケースも少なくありません。

間伐材の需要が減ることで、切り倒した樹木をそのまま放置する「切り捨て間伐」につながる点も問題です。伐採した木をそのまま放置した結果、台風で木材が流出したり、植物の成長が妨げられたりする可能性があります。

また、間伐と聞いた際に、成長しておらず形の悪い木を切る作業をイメージする方は多いはずです。「間伐材=本来捨てられる木材を使った粗悪品」というイメージを持たれやすい点も、間伐材の抱える問題といえるでしょう。

■間伐材の利用は環境保護につながる重要な取り組み

間伐材の利用は、森林の健全な成長や生態系の維持、土砂災害の危険性を下げるなど、さまざまな効果が期待できる取り組みです。SDGsの目標達成にもつながることから、今後はさらに注目を集めていくと考えられます。

間伐材と聞くと品質が低い樹木をイメージしがちですが、サイズが大きく高品質なものも多くあります。間伐材が必ずしも粗悪品とは限らないと知っていれば、商品を購入する際などに役立つのではないでしょうか。
間伐材を使用することで、自然環境に配慮しているイメージを与えることもできるはずです。SDGsへの取り組みの一環として、間伐材を使った商品を活用してみてはいかがでしょうか。

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