【目次】
■在庫管理とは
在庫管理とは、必要とされる場所に必要なタイミングで必要な量を供給するために、商品や原材料といった在庫の数や品質を適切に管理する業務のことです。
在庫というと完成品の商品をイメージしやすいですが、商品だけでなく原材料や部品など、「顧客の注文を受けることで現金になる可能性がある資産」すべてが在庫にあたります。
効率的な在庫管理は、健全に経営を行い企業が利益を高めるために不可欠といえるでしょう。
■在庫管理の業務内容
一口に在庫管理といっても、具体的な業務内容は多岐にわたります。在庫管理の主な業務内容は、以下の通りです。
・入出庫管理：商品や部品の入庫数と出庫数を記録する
・在庫発注：適正な在庫数を保つために、必要に応じて商品を注文する
・返品管理：商品の返品があった際に、数や状態を確認する
・棚卸し：期末に在庫数の確認を行う など
各業務を行う方法は、在庫台帳に手書きで記入したり、パソコンのエクセルで表を作ったり、在庫管理システムを活用したりと、企業によってさまざまです。
■在庫管理を行うメリット
適切な在庫管理によって、企業はさまざまなメリットを得ることができます。在庫管理の目的やメリットとしては、以下が考えられます。
・余剰在庫が減る
在庫管理で在庫数を把握すれば、商品の仕入れすぎによる余剰在庫の発生を防ぐことができます。保管スペースが圧迫されにくくなり、必要な在庫を探し出す手間や時間を省ける点がメリットです。
また、余計な発注を減らすことによるコストの削減や、欠品の減少にもつながります。
・生産性が向上する
在庫の場所や数字など、在庫管理を徹底して行うことで、ものを探すなどの余計な時間が減ります。生産性の向上につながったり、人件費や光熱費といったコスト削減が図れたりする点もメリットです。
無駄な作業時間が減り商品をスムーズに提供できるようになれば、納期の短縮にもつながります。
・品質が安定する
部品や商品を倉庫に長期間保管していると、経年劣化やホコリなどの異物混入で品質が変わってしまう恐れがあります。劣化した在庫は出庫できなくなり、損失につながりかねません。
しかし、在庫管理を行い長期間の保管そのものをなくせば、品質の劣化を防ぐことができるでしょう。不良品を発送してしまうリスクも減らせます。
・キャッシュフローが良くなる
在庫管理によって、キャッシュフロー（お金の流れ）が改善するのもポイントです。在庫は企業における資産ですが、時間の経過とともに価値は下がっていきます。
在庫を長期間抱えたままだと、投資した資金が未回収となり、資金繰りを圧迫する恐れも捨てきれません。
在庫管理で在庫数を過不足なくコントロールし続けることは、健全な会社経営にもつながります。
■在庫管理の課題
在庫管理は、商品や部品などを取り扱う際に必要不可欠な業務ですが、実際の現場では効率的に行えない、在庫管理に手間がかかっているというケースも多く見られます。具体的に、どのような課題があるのでしょうか。
・在庫数を正確に把握できない
適正な在庫数を正確に把握しにくい点は、在庫管理における課題のひとつです。在庫数を把握できていないと、適切な量の発注が難しくなり、結果として在庫の過不足が発生してしまいます。
余剰在庫が増えると管理コストが増大してしまい、在庫が不足した場合は注文に対応できず機会損失につながるなど、いずれの場合も問題が起こります。
・在庫管理業務が属人化する
特定の人しか業務に対応できなくなる「属人化」も課題です。業務内容や手順、在庫の置き場所といったルールが定められていない場合、特定の従業員しか業務を行うことができません。
業務担当者の異動などにより業務が滞ったり、他の業務に影響を与えたりする恐れもあります。
・ミスを防ぎにくい
帳簿に手書きでデータを記載したり、エクセルに打ち込んだりしている場合は、二重入力や入力漏れ、記載ミス、商品名や数字の見間違いといった人為的なミス（ヒューマンエラー）が起こりやすいです。
在庫数が増えて業務内容が煩雑になるほど、ミスを防ぐことが難しくなります。
ヒューマンエラーをゼロにすることは困難ですが、ゼロに近づけるための対策や環境の整備が重要です。
■在庫管理を効率化する方法
さまざまな課題がある在庫管理ですが、効率化に向けてはどのような取り組みを行えば良いのでしょうか。在庫管理を効率化する方法の例を、いくつかご紹介します。
・適正な在庫数を定義する
余剰在庫による管理コストの増加や欠品による機会損失を防ぐためには、適正な在庫数を定義することが重要です。不足せず、余らせすぎることもない在庫数を検討しましょう。需要の変動などを見越したうえで、在庫の入出庫を管理しているデータや商品の販売実績から算出するのがポイントです。
・業務を標準化する
業務の属人化を防ぐことも重要です。ロケーション管理を行い在庫保管の場所を適切に管理する、業務の手順やトラブルが起こった際の対応方法を定めるなど、ルールを作って徹底させることを心がけましょう。
明確なルールに沿ってスタッフに作業を進めてもらうことを徹底すれば、業務の水準を一定に保ちながら、属人化も防げます。
また、マニュアルを作るだけでなく、在庫管理の重要性をスタッフ全体に共有するといった啓蒙活動も大切です。
・在庫管理システムを導入する
在庫数を帳簿やエクセルシートに手で入力している場合、商品名の見間違いや入力ミスといったヒューマンエラーを防ぐことは困難です。
バーコードやハンディターミナルを使って在庫状況や入出庫の管理を行える、在庫管理システムを導入するのもおすすめです。
リアルタイムでデータの一元管理が行えるものなら、バーコードを読み取るだけで在庫数を過不足なく管理することができます。人的ミスの減少や作業時間の効率化、コストの削減など、さまざまな効果が期待できる点がメリットです。
ただし、システムの導入にはある程度コストがかかるうえに、コードの読み取り忘れといったミスが発生しないとも限りません。
導入することで現状の課題が解決できるのか、導入するコストに対して効果が期待できるのかなどを検討することが重要です。
■健全な会社経営には効率的な在庫管理が重要
余剰在庫の減少や生産性の向上、品質の安定化につながるなど、健全な会社経営を行うために、在庫管理は欠かせない業務のひとつです。しかし、効率的に在庫管理を行うためには多くの課題があります。
ルールの策定を行うなど、業務環境を改善していくことが大切です。システムを活用して、ヒューマンエラーのリスクを下げるのも良いでしょう。
在庫の過不足などに悩まされることが多い事業者の方は、在庫管理の効率化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
