【目次】
■まずは什器選びの考え方から
什器選びでつまずく方の多くは、「どの什器を買うか」から考え始めています。ですが、お店づくりで最初に確認したいのは、実はもっと手前の部分。お店をどんな空間にしたいのか、その什器に何をさせたいのか。ここが決まると、選ぶべき什器は自然と絞られていきます。
Q什器選びのコツと考え方を教えてください
A大切なのは、次の3つの視点を持っておくことです。1つ目はお店のコンセプト、つまり「誰に、何を、どんな雰囲気で売るのか」。2つ目はそのコンセプトに合った什器か、木目かスチールか、高さは抑えるか。3つ目はその什器を置く目的、何をどう見せるための1台なのかです。この3つの視点を意識しておくと、「売場が寂しいから棚を足す」ではなく「入口で新作を3パターンだけ大きく見せたいから、高さ80cmの平台を1台入れる」と言えるようになり、選択を間違えにくくなります。この3つを軸に、これから5つのステップで具体的に見ていきます。
- コンセプト:「30代女性向けの、ナチュラルテイストの生活雑貨店」「学生向けで、回転の速いカジュアル衣料」
- 合う什器:ナチュラルなら木目の低い平台と棚、カジュアルなら大量陳列できるスチールのハンガーラック
- 置く目的:「入口の平台で新作を3パターンだけ見せる」「壁面で色違いを一覧できるようにする」「レジ横で小物のついで買いを狙う」
- 什器は一度入れると簡単には入れ替えられない「店舗の骨格」です。だからこそ、購入前の整理に時間をかけた方が結果的に安く済みます。
- 「コンセプトに合っているか」の判断が難しいときは、素材と色の2点だけ先に決めるのがおすすめです。
- 目的が言葉にできない什器は、多くの場合あとから「置き場所に困る什器」になります。
Q什器選びはどんな順番で進めればよいですか?
Aこの記事では、次の5つのステップで進めます。STEP1 お店の広さと客層を確認する、STEP2 置きたい商品と量を決める、STEP3 お店のイメージを決める、STEP4 売場レイアウトを作る、STEP5 三大什器から選ぶ。広さと客層が決まれば必要な台数とサイズが見え、商品とイメージが決まれば什器のテイストが決まります。この順番で進めるだけで、迷いが大きく減ります。
※画像はAIで生成したイメージ図です
■STEP1 お店の広さと客層を確認する
最初に確認したいのが、店舗の大きさ・坪数です。広さによって必要な什器の台数もサイズも変わるため、ここが分からないままでは何も決まりません。
- 坪数だけでなく、間口・天井高・柱や梁の位置もあわせて測っておくと、什器の高さ選びで失敗しません。
- 通路幅は、お客様同士がすれ違うことを考えると最低でも90cm。車いすやベビーカーでのご来店が多いお店は、120cm以上あると通りやすくなります(自走用の車いすは幅60-65cm、A型ベビーカーは40-55cm程度)。
- 「どのサイズを何台、どこに置くか」は、STEP4 売場レイアウトを作るで、配置図の作り方とあわせて解説します。
Q広さのほかに、最初に確認しておくことはありますか?
A客層です。誰に売りたいのかで、同じ坪数でも入れる什器は変わります。学生向けで回転を速くしたいのか、大人の客層にじっくり見てもらいたいのか。広さと客層の2つが言葉になると、必要な什器の方向性がはっきりします。
■STEP2 置きたい商品と量を決める
什器のカタログを開く前に、何をどれだけ置きたいのかを決めます。ここがあいまいなまま発注してしまうと、「届いたけれど商品が入らない」といったズレが起きやすくなります。
Q置きたい商品はどう整理すればよいですか?
A置きたい商品と量を書き出し、置き方ごとに分けます。特に注意が必要なのは、雑貨とアパレルのように性質の違う商品が混ざるお店です。畳んで置く商品と吊るす商品、小物と大物では、必要な什器がまったく違います。置き方ごとに分けておくと、什器の高さやサイズが決めやすくなります。
※画像はAIで生成したイメージ図です
- 「吊る・畳む・立てる・並べる」の4分類で商品を仕分けすると、ハンガーラック・棚・平台のどれが必要かが一目で分かります。
- 雑貨とアパレルが混在する場合は、境界に高さの違う什器を置くと、売場が自然に切り替わって見えます。
- 在庫の置き場所(バックヤード・什器下のストック)も、同じタイミングで決めておくのがおすすめです。
■STEP3 お店のイメージを決める
コツの2つ目「コンセプトに合った什器か」を、ここで見た目に落とし込みます。什器のテイストが決まると、候補は一気に絞られます。
Qお店のイメージはどう決めればよいですか?
A「あのお店をお手本にしたい」と思える1店を決めておくと、店舗イメージが一気に作りやすくなります。細かいところまで詰める必要はありません。木目調か、スチール調か、木目xスチールのミックスか、そのくらいざっくりとした雰囲気を決めるだけでも十分です。ストア・エキスプレスであれば、どのテイストの什器もそろっていますので、方向性が決まればあとはその中から選ぶだけになります。
※画像はAIで生成したイメージ図です
- お手本にしたいお店の写真を数枚集めておくと、社内やスタッフ間でイメージを共有しやすくなります。
- 什器の素材・色は2種類までに絞ると、点数が多くても売場がまとまって見えます。
- 木目はやわらかく温かい印象、スチールはシャープでスタイリッシュな印象。扱う商品の雰囲気と合わせて選びます。
木目調からスチール調まで、テイスト別に什器を探せます。
■STEP4 売場レイアウトを作る
ここまでで、広さ・客層・商品・イメージが決まりました。次はどこに何を置くかです。ここで大切になるのが「お客様の目線と動き」。同じ什器でも、置く場所ひとつで売れ方は大きく変わります。
Q売場のレイアウトについて注意点は?
Aお客様がどんな流れで商品を見ていくのか、導線を押さえることです。注目を集めたいアイテムはお店の入口に並べる、種類が多い商品は壁面にまとめて見せる、お客様の目に留まりやすい導線を意識して什器の配置を考えることが大切です。良い商品を揃えていても、目に入らない場所に置いてしまえば手に取ってはもらえません。
- 注目させたいアイテムは入口付近へ。お客様が最初に目にする場所が、最も訴求力の高い売場です。
- サイズや色のバリエーションが多い商品は、壁面什器にまとめて並べると比較しやすくなります。
- レジ前や試着室への通路など、お客様が必ず通る場所には「ついで買い」を狙った小型什器が効果的です。
Q売場レイアウトの作り方とは?
ASTEP2で分けた商品を、売場のどこに置くかブロック分けするとレイアウトが組みやすくなります。「入口はこのカテゴリ」「壁面はこのシリーズ」というくらいのざっくりした区分けで構いません。区分けができると、そこに棚・平台・ハンガーラックのどれが必要かという具体的なレイアウトへ落とし込めます。
※画像はAIで生成したイメージ図です
Q配置を簡単に考える方法とは?
Aカタログや商品詳細ページに記載のサイズ(幅・奥行・高さ)を参考に、紙などに配置図を描いてみてください。手描きでも十分です。図にすると「通路が狭すぎる」「この壁には入らない」といった問題が発注前に見つかります。
※画像はAIで生成したイメージ図です
デジタルカタログで什器を探す- 方眼紙を使い「1マス=10cm」と決めて描くと、縮尺を意識せずに正確な配置図が作れます。
- 什器を切り抜いた紙のパーツを作って動かすと、レイアウトの検討がぐっと早くなります。
- 扉の開閉スペースや引き出しの幅も、忘れずに図面に入れておきましょう。
- 車いすが方向転換するには140-150cm程度必要です。売場全体で確保するのが難しければ、入口やレジ前など1か所だけでも広めに取っておくと安心です。
Qレイアウトの参考にできるツールは?
Aバーチャルショールームをぜひご活用ください。実際の什器をバーチャル上に配置しており、木目やホワイトなど色味を変えて検討することもできるので、完成後の店舗をイメージしやすくなります。図面だけでは分かりにくい「圧迫感」や「抜け感」を確認するのにも向いています。
- ショールームの画面上には什器の寸法が表示されません。気になる什器はピンをクリックし、商品ページのスペック欄(幅・奥行・高さ)で確認してください。
- 寸法を確認したら、ひとつ前の方眼紙の配置図に写しておくと、見た目と数字の両面で検討できます。
- 木目やホワイトなどの色味の比較は画面上で完結するので、テイストを決める段階で使うのが効率的です。
■STEP5 三大什器から選ぶ
売場の骨格を作るのが、入口に置く「ファサード什器」、中央に置く「島什器」、壁面に置く「壁面什器」の3つです。手前は低く、奥にいくほど高くなるグラデーションを作ることで、見やすくて入りやすい売場になります。3種類すべてをいきなり揃える必要はなく、最終的には予算に応じて配置を考えていきます。
※画像はAIで生成したイメージ図です
ファサード什器(入口・店先)
島什器(店内中央)
壁面什器(店内の壁沿い)
※画像はAIで生成したイメージ図です
店内の壁に沿って配置する背の高い什器で、210cm・240cmなどのサイズがあります。壁面の演出と大量陳列を同時にこなせるため、遠くからでも何があるかが分かりやすくなります。
- 手前は低く、奥にいくほど高くなるグラデーションを意識すると、店内全体が見渡せて入りやすい売場になります。
- 入口付近に背の高い什器を置くと店内が見えず、入店のハードルが上がってしまいます。
- すべてを一度に揃えるのではなく、壁面什器、島什器、ファサード什器の順に予算配分を検討するのが定番です。
- 壁面什器の最上段は手が届きにくいため、ストックやディスプレイ用と割り切るのも有効です。
- 島什器は四方から見られるため、どの面から見ても成立する陳列を意識しましょう。
- ファサード什器はキャスター付きを選ぶと、天候やイベントに合わせて位置を動かせます。
高さや幅をそろえて売場全体を統一したいときは、パーツを組み合わせて構成できるシリーズ什器が便利です。
システム/シリーズ什器特集から探す■おわりに
バイヤーへの取材を通じて見えてきた要点は、「什器から選ばず、お店の姿から逆算する」ということでした。広さと客層、置きたい商品、お店のイメージ、そしてレイアウト。この順番で進めていけば、選ぶべき什器の種類・サイズ・台数は自然に絞られていきます。
このコラムが、これから店舗を作る方、売場を見直したい方の参考になれば幸いです。ストア・エキスプレスでは木目調からスチール調まで幅広いテイストの什器を取り揃え、バーチャルショールームでのレイアウト検討もご利用いただけますので、ぜひあわせてご覧ください。
「この広さなら何台入るのか」「この商品にはどの什器が合うのか」など、実際の売場に合わせたご相談も承っています。図面やお写真をお持ちであれば、より具体的なご提案が可能です。
店舗づくり、改修でお困りの方什器相談承ります
お話:店研創意 什器バイヤー | 公開日:2026年8月











